着物の「友禅」とは?成人式の振袖を選ぶ際に知っておきたい伝統技術
成人式の振袖を選ぶときに、「友禅」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。友禅は染色技法の一種です。日本で古くから使用されてきた伝統的な染め方で、成人式の振袖のデザインとしても高い人気があります。
現代では振袖や着物を着用する機会もそう多くはないため、「どのような染め方なのだろう」「なかなかイメージできない」という方もいるかもしれません。そこでこの記事では、友禅の歴史や種類、染め方の特徴について詳しく解説します。理想の振袖を見付けて、成人式で思いきりおしゃれを楽しみましょう。
伝統的な着物の技法「友禅」とは
友禅は日本で古くから使用されている伝統的な技法の一種です。着物や帯を染める際に使用されます。成人式で着用する振袖にも友禅染が施されているものが多いため、知識を深めておくと振袖を選ぶ際に役立つでしょう。まずは、友禅染に関する基本情報を紹介します。
友禅染とは
友禅染とは、江戸時代に京都の扇面絵師だった宮崎友禅斎(みやざきゆうぜんさい)によって考案された着物の染色技法のことです。友禅染が施された着物を「友禅」と呼びます。
江戸時代以前の日本で好まれていたのは、茶屋染や金紗(きんしゃ)刺しゅう、総絞りなどの豪華な印象の文様です。しかし、江戸時代になると幕府がこのような華美な着物(技法)の作成・着用を禁止する奢侈禁止令(しゃしきんしれい)を発令しました。
その結果、刺しゅうや絞りを使用せずとも色鮮やかで繊細な文様を作り出せる新しい技法として、「友禅染(ゆうぜんぞめ)」が誕生したといわれています。
友禅染の特徴
友禅染は色がにじまないよう糊(のり)を使用することで、ひとつひとつの模様がはっきりと映し出されるのが特徴です。模様の輪郭部分に細く糊を付け、それぞれの柄の色が混ざるのを防ぎます。
糊を糸のように細くおいていくことから「糸目糊(いとめのり)」と呼ばれており、日本らしい繊細さや可れんな印象を演出できる技法です。友禅染では花鳥風月や季節の風景をモチーフにした自然文様が多用されています。
手描き友禅と型友禅の違い
昔の日本では、職人が手描きをする「手描き友禅」が用いられていました。しかし、明治時代に入ると「型友禅」が主流になります。
手描き友禅は、ひとりの職人が柄の書き出しから色染までを担当する技法です。手描きならではの繊細さやニュアンスを感じられるという魅力があり、手間暇がかかる分、値段も高価に設定されています。
一方、型友禅はあらかじめ作られた型を使用する技法です。手描き友禅に比べて工程が減るため大量生産が可能ですが、柄が多くなると使用する型紙も増え、色のぼかしや染色に熟練の技が求められます。
日本三大友禅とは
日本三大友禅とは、「東京友禅」「京友禅」「加賀友禅」のことです。友禅は着物が作られた地域によって呼び方が異なります。
・京友禅:京都で作られたもの
・加賀友禅:石川(金沢)で作られたもの
・東京友禅:東京で作られたもの
日本三大友禅だけでなく、どの種類の友禅も同じ「友禅染」の技法を用いていますが、染のニュアンスや全体的なデザイン、柄といった細かい部分は地域によって特徴が異なります。それぞれに違った魅力がありますが、その中でも日本三大友禅は特に人気の高い着物となっているため、成人式で着用する振袖にも最適といえますね。
京友禅の着物
京友禅は京都で作られた着物で、日本三大友禅のひとつです。友禅染の生みの親「宮崎友禅斎」が京都の扇面絵師だったことから、京都では友禅染の技術が大きく発展しました。
京友禅とは具体的にどのような着物なのでしょうか。ここでは、京友禅の歴史と特徴や模様について詳しく解説します。
京友禅の歴史
友禅染が誕生したきっかけといわれているのは、京都の呉服屋が宮崎友禅斎に着物の図案作成を依頼したことです。友禅の技法は室町時代のころから使用されていたようですが、友禅斎ならではの革新的なデザインを取り入れることで、大衆から大きな人気を博すようになりました。
その後、京友禅が京都に広まったのは江戸時代中期ごろです。京都は染色に必要とされる水が豊富だったことから、大きな発展を遂げました。また、宮崎友禅斎が京都で扇面絵師をしていたため、友禅染の技法が伝わりやすかったともいわれています。
特徴や文様
京友禅は豪華で上品なデザインが特徴です。自然文様だけでなく、平安時代の貴族の衣装に用いられていた有職文様(ゆうそくもんよう)も使用されています。
奢侈禁止法が撤廃された後、京友禅には絞りや刺しゅう、金ぱくなどが施されるようになりました。かつて日本で一番の都であった京都らしい、豪華で華やかな印象を感じられるでしょう。
加賀友禅の着物
加賀友禅は石川県金沢市で発展しました。奥ゆかしく落ち着いた中にも力強さを感じられるデザインが特徴です。成人式で、大人っぽさやシックなイメージを演出したい方におすすめといえます。ここでは、加賀友禅の歴史や特徴と詳しく見てきましょう。
加賀友禅の歴史
京都で扇面絵師をしていた宮崎友禅斎が、江戸元禄に金沢の御用紺屋に身を寄せたことから、加賀友禅の染色技法が確立されたといわれています。
加賀はもともと、梅染や兼房染、色絵、色絵紋など「加賀御国染(かがおくにぞめ)」と呼ばれるさまざまな技術が発達していた地域です。従来の染色技術に友禅の斬新なアイデアが融合することで、加賀独自の発展を遂げました。また、1975年には国の伝統的産業工芸品に認定されています。
特徴や文様
加賀友禅は、加賀五彩と呼ばれる「臙脂(えんじ)」「黄土」「藍」「草」「古代紫」の5色で構成されているのが特徴です。柄はスケッチしたような写実的なデザインで、草花や動物などの自然文様が多く描かれています。
絞りや刺しゅう、金ぱくなどの技法を使用しないのが京友禅との違いです。また、内側から外側に向かってグラデーションをつける「外ぼかし」や、柄に黒の点をつけてインパクトを与える「虫食い」の技法が用いられます。落ち着いた雰囲気の中にも力強さを感じられるのは加賀友禅ならではの魅力です。
東京友禅の着物
東京友禅は東京で生まれた技法で、江戸友禅とも呼ばれています。シンプルな色味とデザインで、上品さを感じられるのが特徴です。東京友禅の着物も伝統工芸品の一種に認定されています。おしゃれで洗練された雰囲気を演出したいときや、ヘアセットやメイクなどをメインに仕上げたい場合に適しています。
東京友禅の歴史
友禅染は徳川家康が東京(江戸)に幕府を開いたことがきっかけであるといわれています。参勤交代の際に大名が職人を一緒に連れてきたことで、江戸の文化や技術と友禅染が融合し、東京友禅が誕生しました。
また、五代将軍徳川綱吉の母「桂昌院(けいしょういん)」が、京都の職人を呼び寄せて着物を作らせていたという説もあります。東京で友禅染が広まった当時に発令されていた奢侈禁止令の影響が色濃く残っているのが東京友禅の特徴です。
特徴や文様
東京友禅は、江戸の町人文化や武家文化とともに発展したことから、「わび」「さび」「粋」といった江戸らしさを感じられます。白や藍色、茶色などの落ち着いた色味を使用した、すっきりとしたデザインが特徴です。色を入れていない白い部分をそのままにした「糊の白上がり」の技法も用いられています。
また、川や釣り船、海など水辺を描いた模様が多いのも特徴のひとつです。素朴な色味の生地に明るくつややかな柄を入れることで模様が引き立ち、シックで都会的な印象に仕上がります。
十日町友禅の着物
十日町友禅は新潟で発展した技法です。繊細な古典美を感じられる染め方で、職人技の最高峰ともいわれています。時代の変化とともに進化しながらも伝統を守り古典美を表現する十日町友禅は、着物ファンからの評価も高いようです。一生に一度しかない大切な成人式の日を、華やかに彩る振袖としても最適です。
十日町友禅の歴史
新潟県の十日町(吉澤)地方は、1,500年以上の歴史を持つ日本有数の織物産地です。十日町友禅は産地の名前を取って、「吉澤友禅」とも呼ばれています。
十日町で友禅染が取り入れられるようになったのは1964年ごろです。吉澤織物の技術に友禅染の技法をドッキングさせることで、独自の発展を遂げました。十日町友禅は工程ごとに別工場に振り分けるのではなく、最初から最後までひとつの工場で一貫生産されています。
特徴や文様
十日町友禅は、多彩で華やかさが魅力の着物です。吉澤織物の伝統と高度な友禅技法に、流行のデザインや新しいアイデアがほどよく融合されています。絵柄は自然文様が多いものの、現代的な柄も取り入れられているのが十日町友禅ならではの特徴です。
十日町発祥の老舗ブランドも多く、さまざまなデザインが用意されています。成人式に着用すれば他の染め方の着物とは一味違った特別感を味わえるのではないでしょうか。ひとつひとつの工程を職人の手作業で丁寧に進めていくため、最高峰の振袖と称されることもあります。
友禅の着物はお祝いの席にもぴったり◎
友禅は色鮮やかで明るく、華やかさを感じられる着物として知られています。伝統工芸品に認定されているものもあり、お祝いの席にもピッタリといえるでしょう。
友禅の着物は、具体的にどのようなシーンで着用できるのでしょうか。友禅を着るタイミングや着物のデザインを紹介します。
結婚式などの礼装として・訪問着として
友禅の着物は、結婚式や結納、式典といった場で着用されることの多い着物です。また、七五三やお誕生日といったお祝いの席でもよく着用されています。友禅が着用される主なシーンと着物の種類は以下の通りです。
着物の種類 | 主な着用シーン |
小紋 | 法事、おでかけ、同窓会 |
色無地 | 式典、お宮参り、七五三、入学式、卒業式、法事、おでかけ |
付下げ | 式典、お宮参り、七五三、入学式、卒業式、法事、パーティー、おでかけ |
訪問着 | 結婚式(参列者)、式典、七五三、入学式、卒業式、パーティー |
色留袖 | 結婚式(参列者)、式典、パーティー |
黒留袖 | 結婚式(親族・仲人) |
友禅をあしらった訪問着は、カジュアルなシーンでも華やかな場でも着用できるため着回しがききますよ。
成人式の振袖として
友禅は成人式の振袖としても人気の高いデザインです。振袖には3種類あり、種類ごとに着用シーンが異なります。
着物の種類 | 着用シーン |
大振袖 | 結婚式(花嫁) |
中振袖 | 成人式、パーティー、結婚式(参列者) |
小振袖 | 卒業式、パーティー、おでかけ |
成人式の定番衣装とされている中振袖は袖丈100cm程度です。袖が足首あたりまでの長さでバランスがよく、結婚式に参列する際やパーティーなどでも着用できます。
大振袖は格式が高い上に袖が114cmと長いため、成人式ではあまり着用されません。また、小振袖は袖が85cm程度と短いのが特徴で、一般的には卒業式で袴と一緒に着用されます。
成人式の振袖は「ふりホ」でお気に入りの1着を
成人式は一生に一度の大切な記念日です。お気に入りの振袖を着て、思い出の1ページを彩りましょう。
スタジオアリスでは、成人式のための特別なサービス「ふりホ」をご用意しています。前撮り撮影と振袖レンタルがセットになった魅力的なプランです。ここでは、ふりホの具体的なメリットを3つ紹介します。
『スタジオアリスの成人式革命 ふりホ』一律料金で成人式振袖レンタル&前撮りが可能
ふりホは、「追加料金なし」「一律価格」にこだわった、成人式の前撮り撮影と振袖レンタルがセットになったお得なプランです。料金は一律99,800円(税込 109,780円)で、以下のようなサービスが含まれます。
・正絹を中心とした高品質な振袖を着用できる
・成人式用の振袖を長期間レンタル可能
・前撮り撮影(撮影データ付き高画質アルバム付き)
・前撮り時の着付けとヘアセットのサービス付帯 など
追加料金は原則かかりません。また、振袖はクリーニングに出さずにそのまま返却可能です。前撮り時から返却時まで長く借りられる上にクリーニング代もかからないため、手間やコストを削減できます。
※2023年時点の料金プランです。
『ふりホとは(商品・料金)』正絹を中心とした高品質な振袖が約1,500種類揃う!
ふりホで選べる振袖は約1,500種類です。古典的な王道柄からキュートでかわいいデザイン、大人っぽくシックな着物までさまざまなバリエーションがあります。また、前撮り時のヘアセットや着付けも付帯サービスとなっているため、初めて振袖を着る方でも安心です。
なお、ふりホでは、Webカタログやカタログアプリもご用意しています。アプリではバーチャルフィッティングも可能です。何度でも試着できるので、ご自身の魅力にピッタリと合った振袖に出会えるでしょう。
『衣装カタログ』写真映えもバッチリ!京友禅大会受賞柄も◎
ふりホで選べる振袖の中には、「京友禅大会」で受賞を果たした豪華なデザインの着物もあります。日本の伝統的な美しさを感じられる古典柄が魅力です。成人式で着用すれば特別感を味わえるでしょう。
また、受賞作品と配色違いの着物や同じ古典柄を使用したデザインなどさまざまなバリエーションがラインアップしています。ふりホの振袖は格式の高い高品質な正絹を使用しているものが多く、上品で繊細な雰囲気を感じられるのが特徴です。ぜひ一度、公式サイトやアプリから、ふりホの着物デザインをチェックしてみてください◎。
『振袖ラインアップ』最新の成人式情報をふりホ公式インスタグラムアカウントでチェック
ふりホでは、公式インスタグラムアカウントで成人式に関するさまざまな情報を配信しています。振袖を着用したモデルの写真がたくさんアップされているため、振袖を着た際のイメージをチェックしたいときにも便利です。
また、フォロワー限定で展示会の詳細や新作の振袖情報も配信しているので、成人式の情報を集めたいときはぜひフォローしてみてください。
『ふりホ公式インスタグラムアカウント』ふりホのQ&A|気になる疑問を解決!
ふりホの疑問1|たくさんの中からどうやって選べばいいの?
「ふりホ」ならWEBカタログで好きな色やイメージで絞り込んで選べるから簡単です。すきま時間を使って気になる振袖をいつでも、どこでもチェックできます。気になった振袖はバーチャルフィッティングアプリで試着体験できるので、遠く離れた家族や友達にもシェアしてゆっくりじっくり選べます。展示会でも試着できますので、最寄りの会場でぜひお手に取ってお確かめください。
ふりホの疑問2|品質は大丈夫?
振袖は正絹を中心とした高品質な振袖をご用意していますのでご安心ください。グループ会社の「京都豊匠」で一括管理しているので、間接コストを省き、品質の高い振袖をリーズナブルな価格でご提供しています。
ふりホの疑問3|振袖だけの価格なの?
成人式当日の振袖レンタルと前撮りがセットになったプランです。振袖には帯こもの一式はもちろん、着付けに必要な小物10点もご用意しております。前撮り時は着付け・ヘアセットもついて、さらに写真集タイプの豪華アルバム(10ページ12カット)もセットになっていますので、すべておまとめお任せください。
ふりホの疑問4|いつ予約したらいい?早く予約しなくて大丈夫?
人生の大きな節目である成人式の振袖を何年も前に予約するのは早すぎませんか?好みも変わるし不安がいっぱい・・・
そんな声から生まれた「ふりホ」なら振袖選びは急がなくてもOK!
成人式の直前でもご予約いただけます。毎年トレンドに合わせた旬の品揃えをしているので、豊富なラインアップからお選びください。
※1~2年前のご予約からお受けしています。
まとめ
友禅は着物の染色技法の一種です。京都の扇面絵師、宮崎友禅斎によって考案されました。柄のひとつひとつが色鮮やかに映し出され、繊細さの中にも豪華さや力強さを感じられるのが特徴です。
友禅のデザインは振袖にも多く使用されており、スタジオアリスの成人式専用サービス「ふりホ」でも京友禅大会で受賞を果たした豪華な着物をご用意しています。ふりホで選べる振袖の種類は約1,500種類と豊富です。ご予約&ご相談会も開催していますので、ぜひお気軽にご利用ください。
『成人式振袖レンタルご予約&ご相談会』