その2
頻回授乳
頻回授乳とは、赤ちゃんが欲しがるたびに母乳をあげることをいいますが、1日に10回以上の授乳を頻回授乳と言うこともあります。3時間おきにあげると1日に8回程度になりますが、赤ちゃんは飲み終わってすぐや30分、1、2時間後と、3時間より短い時間で欲しがることもよくあります。月齢によって1回に飲める量も変わり、機嫌や情緒の発達などが原因で、夜泣きをして頻回授乳になることもあります。このように月齢で異なる頻回授乳の主な原因などについてご紹介します。
1、2カ月頃
1、2カ月頃の赤ちゃんは、胃が小さいため、飲んでいる途中で寝てしまうなどの理由で10回以上の授乳回数になることがよくあります。一方、ママの方は、母乳の分泌を増やしたい場合、母乳の分泌がしっかり確立するまで赤ちゃんが欲しがる度に授乳することが必要です。赤ちゃんの体重が増えているか、母乳が出ているか、不安や心配になってしまう場合は、ひとりで悩まず、病院の健診をはじめ、市町村の保健師や助産師の訪問、また、近くの母乳外来がある病院や助産院、母乳相談室などの乳房専門の助産師などに赤ちゃんの体重測定をしてもらい、あわせて母乳の出具合や赤ちゃんの飲み方をみてもらいましょう。
3、4カ月頃
3、4カ月以降になると胃の容量が大きくなり、一回に飲める量が増えて、授乳の回数や時間が安定してきます。しかし、赤ちゃんの成長発達の状況によっては、夜間の授乳や夜泣きが増える時期もあります。休む時間がとれない、身体が辛い時などは、ひとりで悩まず、家族の協力を得たり、産後ケアなどで体調を整えたりすることが大切です。
5カ月以降
5ヶ月以降は寝返りができるようになり、夜間の寝返りで起きてしまうことがあります。お部屋が暑くて起きてしまうこともあるので、薄着にしたり、エアコンを上手に利用したりして、快適な環境を保ちましょう。また、この時期は、離乳食の摂取カロリーによってはお腹が空いて頻回授乳になる場合があります。水分の多いお粥から、柔らかめのご飯にするなど、カロリーを摂るようにすると、腹持ちが良くなって寝ることもあります。その他、お母さんの乳房が詰まって母乳が出にくくなることで、授乳回数が増えることがあります。抱き方を変えて(横抱き、縦抱き、脇抱きなど)授乳したり、搾乳したりして、溜まった母乳を出すようにしましょう。よくならない時は、近くの母乳外来がある病院や助産院、母乳相談室などの乳房専門の助産師に相談しましょう。
どの月齢にも共通して大切なのは、うんちとおしっこが出ていて、赤ちゃんの体重が増えていることです。(月齢によっては、よく体重が増える時期とあまり増えない時期があります。)赤ちゃんの体重の増加が必要な時期に十分でない場合は、搾乳やミルクの補足をしましょう。離乳食の時期は離乳食をすすめてみてください。また、もう一つ大切なのは、個性によって、頻回授乳になることがあるということです。よく飲んでよく寝る子、あまり飲まずあまり寝ない子、成長が早い子、成長がゆっくりな子、生活のリズムや成長のペースも様々なので、個性をわかってあげられるまでには時間がかかり、悩んだり、心配したりすることでしょう。しかし、個性とわかれば、対応しやすくなり、赤ちゃんの要求に応える気持ちの余裕が生まれてくるはずです。決してひとりでは悩まず、家族や近隣の助産師へ相談して、解決策のヒントを一緒にみつけてもらいましょう。
監修:記野絵美(助産師、看護師)
看護専門学校助産師学科卒業。総合病院、産婦人科クリニックで勤務後、公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会桶谷式乳房管理士の資格を取得し、郡山里の母乳相談室桶谷式代表を務める。