その2
赤ちゃんのほめ方しかり方
大人も子どもも赤ちゃんもほめられるとうれしい気持ちになります。ほめられることは「見てもらえている」「認められている」という安心感を生みます。安心感は、自己肯定感にもつながり、自分に自信をもてるようになっていきます。自信がもてると、興味関心があることに挑戦できるようになるので、発育発達につながります。ほめることは、赤ちゃんを応援してあげることです。たくさんの応援で成長発達を後押ししてあげましょう。
ほめ方 ありのままの現状に気持ちを込めて。
ほめる時は、一緒に喜びを共有して、共感の気持ちを表情や態度、言葉で表現して伝えます。「いっぱい飲めたね」「いっぱい食べたね」「うんちがでてよかったね」と、ありのままの目の前の現状に気持ちを込めます。今起きている出来事に対して伝えるようにすると、赤ちゃんにも伝わります。
また、「手、足がいっぱい動くね」「寝返りできたね」とできること、できたことを伝えることで、自己肯定感も高まります。自分はこれでいいんだと自信がつくと、次に挑戦しようとする気持ちが芽生え、さらに発達を後押しすることにもつながります。
伝える時は、笑顔で、少し高めの声で声かけをします。喜びの気持ちを身体にタッチして伝えることもおすすめです。ほっぺや手足、お腹をプルプルと優しくゆすってあげたり、抱っこしてぎゅっと抱きしめてあげたりしてもいいでしょう。
しかり方 目を見て真剣に、根気強く向き合う。
投げたり、たたいたりができるようになると、つい楽しくて、繰り返し投げたり、たたいたりする時期があります。壊そうとしたり、傷つけようとしたりしているわけではないので、「楽しいね」と気持ちを汲み取ってあげましょう。そのうえで、物が壊れそうになったり、お友達をたたいてしまいそうになったり、危ない時は「投げたら壊れちゃうよ」「たたくとイタイイタイだよ」など「危ないからやめようね」とまずは優しく伝えましょう。
また、赤ちゃんに注意しなくてもいい環境づくりも大切です。楽しく物を投げたり、たたいたりできるおもちゃを用意するなど、赤ちゃんの発達に合わせた環境づくりを心がけましょう。お部屋や遊ぶ場所で、危ない物や触って欲しくないものは、手の届かないところに片づけましょう。
それでも注意をする時は、目を見て、真剣な表情で、少し怖い顔で、笑わずに伝えます。真剣に伝えていることは、赤ちゃんにも伝わります。繰り返し危ない行動をしてしまう時は、根気強く伝えてください。話を聞かずに逃げようとするそぶりが見られる場合は、逃がさないようにお顔と身体を向き合わせて伝えましょう。
感情的になりそうな時はゆったりと深呼吸。
時間に余裕がない時、思い通りに物事が進まなかったり、赤ちゃんが危ない行動をとったりすると、ついイライラしやすくなります。まずは時間に余裕がもてるように、予定を入れすぎないようにしましょう。注意する時は、感情的にならないことも大切です。イライラした感情のまま怒ると、赤ちゃんは何に対して注意されているのか理解できず、ただ、赤ちゃんをおびえさせることになります。感情的になりそうな時こそ、自分の気持ちをコントロールすることに努めてください。コントロールの方法としては、意識して深呼吸をします。ゆったりと呼吸することでイライラする気持ちが落ち着いてくるはずです。水分摂取もおすすめです。気持ちを落ち着かせてから伝えましょう。
ほめること、しかることは、気持ちに共感したり、気持ちを汲み取って代弁したりすることで、赤ちゃんの心と体を成長させ、社会性を養うことにもつながります。赤ちゃんの成長発達には個人差があり、個々の性格もあるので対応に悩むことがあるはずです。悩みが続く時は、小児科の先生や、地域の保健師や助産師、心理士など、成長発達に関する専門家に相談しましょう。
監修:記野絵美(助産師、看護師)
看護専門学校助産師学科卒業。総合病院、産婦人科クリニックで勤務後、公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会桶谷式乳房管理士の資格を取得し、郡山里の母乳相談室桶谷式代表を務める。