その4
第二子が生まれる時の、上の子へのケア
経産婦さんとそのご家族は、ひとり目で子育てを経験はしていますが、上の子と赤ちゃんを同時にお世話することは初めてになります。育児だけでなく家事の量も増えるため、体力的な負担や疲労も増えることになります。また、上の子も赤ちゃんとの生活に慣れないため、不安になることもあるので、上の子が赤ちゃんを受け入れていくためのケアも必要です。そこで、経産婦さんに起きやすい問題や不安などについて整理しておきましょう。上の子へのケアについてもお伝えしていきます。
子どもはそれぞれ違うので、比べないようにする。経験をあてにしないようにする。
つわりの有無など、妊娠中の体調もひとり目とはまったく違う経験をすることがあります。産まれてからは授乳方法をはじめ、よく寝る、なかなか寝ないなどの睡眠の違いや、よく泣く、あまり泣かないなどの泣き方の違いもあります。子育て経験者と言っても、気質や体質が全く違う子を育てることになります。子どもそれぞれが違うということを受け止めて、比べずに対応しましょう。
上の子の要求にできるだけ応える。
赤ちゃんのお世話で忙しい時にでも上の子は話しかけて訴えてきたり、感情をぶつけたりしてくることがあります。赤ちゃんのお世話をしながらも、上の子の話や訴えを聞くようにしましょう。授乳をしながら絵本を読んであげたり、抱っこできない時は手をつないだりなど、体を触って気持ちを向けてあげましょう。身体はひとつしかないので、できない時は順番に対応する、もしくは、別なタイミングで対応するなど、わりきって考えて「今は対応できないけど待っててね」と優しい声かけをするようにしましょう。また、待っててもらったら感謝の気持ちをその都度伝えましょう。その場では納得しない子どもでも、待っていれば対応してもらえることを理解して、待てるように成長していきます。成長の機会とポジティブに捉えて、変化を見守りましょう。
赤ちゃんとの初めての生活、上の子の受け入れには時間をかけて。
上の子は、生活環境が変わることでの不安や、どのように赤ちゃんと関わっていいのかわからない戸惑い、自分が一番だった愛情が赤ちゃんにも向いてしまうことへの否定的な感情などが起きることがあります。それらは我慢させず、表に出させてあげましょう。今までできていたことをやらなくなったり、「できない」と言ったり、イヤイヤの増強や赤ちゃん返りすることもあるでしょう。そんな時に怒ったり、否定したりすると、余計に感情的になって逆効果です。嫌、ダメの気持ちに共感しながら、よく話を聞きましょう。赤ちゃんの泣き声で夜起きてしまったり、夜泣きをしてしまうこともありますが、だんだんと赤ちゃんの泣き声にも慣れてきて、泣き声では起きなくなってきたりもします。家族で協力して見守りながら、できるだけ甘えさせてあげましょう。
上の子と下の子を同時に満足させてあげられないことで、申し訳なさや苛立ちがおきやすい。
上の子を我慢させてしまうこと、待たせてしまうことに、申し訳なく思うことはよくあります。逆に上の子にばかり手がかかって、下の子に手をかけてあげられないことに申し訳なく思ってしまうこともあります。一方で、時間に余裕がないと、イライラしたり、つい怒ってしまったりすることもあります。余裕がなくなっていることに自分では気づかないこともあります。後からでも自分の感情に冷静に向き合った時、正直な気持ちを子どもや家族に伝えることも大切です。できない自分を責めたりしないようにしましょう。
上の子との時間を意識して作るようにする。
赤ちゃんが寝ているタイミングや、赤ちゃんを家族にお願いするなどして、短時間でもママとの2人だけの時間や、ママとパパとの3人の時間を作って、上の子をいっぱい甘えさせてあげましょう。一緒に遊んだり、スキンシップをとったり、また、言葉でも大切な存在であることを伝えましょう。家族が近くにいない、頼る人がいない場合は、一時預かりなど地域のサービスを利用する方法もあります。頼れる時はできるだけ誰かに頼って、ママだけで悩みを抱え込むことがないようにしましょう。家族みんなで上の子へのケアをしていきましょう。
上の子の成長や発達を見守りながら、焦らずゆっくり時間をかけてケアしていきましょう。ひとりでは悩まず、家族で協力していきましょう。
監修:記野絵美(助産師、看護師)
看護専門学校助産師学科卒業。総合病院、産婦人科クリニックで勤務後、公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会桶谷式乳房管理士の資格を取得し、郡山里の母乳相談室桶谷式代表を務める。